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レーザー安全教育セミナーのご案内

目次

  1. レーザー事故と安全意識
  2. 製造業者への要求事項 クラス分け
  3. 製造業者への要求事項 製品への要求項目
  4. 使用者のための安全に関する対策
  5. 高出力レーザーの危険性と留意点
  6. 安全設計と保守点検
  7. 安全衛生教育 クラス4
  8. レーザーが皮膚に与える影響
  9. レーザーが眼に与える影響
  10. レーザー保護メガネ_正しい選び方と使い方
  11. レーザーセーフティ製品_正しい選び方と使い方

1. レーザー事故と安全意識

レーザーの危険性ついては、レーザー光による火傷や失明が事例としてよく取り上げられます。

レーザー加工をおこなう場合、高電圧での感電事故やアシストガスによる火災・火傷・中毒あるいは加工時に発生する粉じんによるじん肺などについても注意を払う必要があります。レーザーの取扱い経歴が30年以上の高い経験者の方であっても、日常的にレーザーを取り扱うため、いつでもヒヤリハットの経験をすることもあります。また自分自身はレーザーを取り扱っていなくても、他の学生や研究員が事故を起こしたときに関わり、二次被害的に事故を被ることもあります。

レーザー事故ヒヤリハットで一番被害を被りやすい部位は、眼です。

レーザー光は、レーザーの特徴でも紹介したように、光が一方向に直進するため、優れた指向性を持ちます。そしてレーザー光はレンズを用いて1点に集光することができます。1点に集まった点ではエネルギー密度が高く、レーザーは集光性にも、エネルギーを集中させる高輝度性にも優れています。ところがこのような光がひとたび眼に入ってしまうと、大きな被害を被ります。レーザー光が眼に当たると、そのエネルギーが眼の内部でレンズの役割を果たしている水晶体で集光され、網膜の1点に高密度なエネルギーが集中し、大きなダメージを受けます。この点は、十分に理解しておくことが重要です。

レーザーの安全性については、1960年中頃からアメリカで検討されはじめ、1970年代に民間団体や政府機関が基準を作成しています。

1973年にアメリカ規格ANSIが制定され、この規格を手本として全世界が規格制定を進めてきています。日本においては、1978年の昭和53年度からレーザー機器の安全確保のJIS制定について検討を開始し、今日に至っています。今後はレーザー機器の設計者、開発者、製造者、使用者、一般消費者にも対象とした「レーザー安全教育」の重要性が増していくことになります。

近年は、製造物責任 PL法も重視されてきているように、製造業者のレーザー安全設計は、ますます厳しく規制され、製造業者の責任は重大となっています。

製造物責任(PL)法とは、製造物の欠陥が原因で生命、又は財産に損害を被った場合に、被害者が製造業者等に対して損害賠償を求めることができることを定めた法律です。そのため、いかに安全なレーザー機器を製造するかが、基本的なレーザー安全につながります。

また、特に研究者やメンテナンス技術者たちには、JIS C 6802のレーザー安全基準の基本に基づいた設計、試験、メンテナンス作業が要求されます。

そのためにも、安全規格にとどまらず自主的な安全基準レベルまで掘り下げた総合的安全設計の実施が求められています。

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レーザー保護メガネ関連動画
【レーザー安全】1 レーザー事故と安全意識
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2. 製造業者への要求事項 クラス分け

レーザー機器は、安全に使用するため、JIS日本産業規格のC6802「レーザ製品の安全基準」によりクラス分けされています。

波長180nm~1mmのレーザー製品は、製造後のあらゆる時点で、動作能力の全範囲にわたって、レーザー放射の出力パワーと波長との組合せに基づいて、クラス分けしなければなりません。クラス分けは基本大きく4つに分かれており、クラスの数値が上がるほど危険性が増していきます。また各クラスの中でもC,Mなどのアルファベットが付き、より細かなクラス分けがされており、2023年現在で1、1C、1M、2、2M、3R、3B、4の8クラスに分かれています。 レーザー製品の正しいクラス分けを行うことは、製造業者の責任とされており、指定されたクラス分けに従って信頼できる安全上の特質を備えていることが必要です。ちなみにJISにはレーザと表記されているため、JISから引用する場合、レーザと書かせてもらいますが、レーザーと呼んだ場合と同じ意味を持ちますのでご承知おきください。なおすでにご存じの方もいらっしゃるかと思いますが、長らくJISは日本工業規格と呼ばれてきましたが、2019年以降、日本産業規格と改称されていますので、今後の動画内でも日本産業規格と呼ばせていただきます。

レーザー機器のクラス分けをするにあたり基本となるのは最大許容露光量です。

最大許容露光量:MPEとは、人体に照射しても有害な影響を与えることがないレーザ放射の最大量と定義されています。この値を超えてレーザーを浴びると、即座に障害が起きると言う閾値的ものではなく、この値は実験的研究から得られた情報に基づいた危険レベルよりも十分に低い値に設定されています。MPEは、光エネルギー、レーザー出力、露光面積、波長、露光時間等から決められ、単位はパワー密度平方メートル当たりのワット量または、平方メートル当たりのエネルギージュール量で示されます。

ここでMPEの扱い方について、眼への暴露を例にお話しします。

短波長レーザーは、大きなエネルギーを持つため危険性も高まりますが、波長が長くとエネルギーは低くなるため、危険性も低くなる傾向があります。 そのため、長波長の光は短波長の光よりも、被ばくによる被害が比較的小さくなります。光の最小エネルギーは光子・フォトンですので、単位面積当たりのワット量またはエネルギージュール量で表すMPEというのは、人体に被ばくされる光子フォトンの数というイメージになります。ここで露光時間、光の暴露時間が同じ場合、短波長の光は、人体への被害も大きくなるため、MPEは低い値に設定されます。その逆に危険性が小さい光の暴露は、人体への被害は小さくなるため、MPEは高い値まで許容できます。

また、レーザーの製造メーカーは、レーザーの出力やエネルギーを測定して、レーザー機器のクラス分けを行います。

ここで被ばく放出限界が重要になります。被ばく放出限界AELとは、「各クラスで許される、波長に対する最大の被ばく放出レベル」と定義されています。例えば、可視光線よりも長い波長では0.5W以上でクラス4になり、可視光線領域においては、1mWまでがクラス2に指定される等です。とあるレーザー機器が属する1~4のクラスに規定されたAELを超えて、出力する事は有りません。レーザー機器製造者は、定められた測定方法で、性能上可能なあらゆる動作モードで、表示されているクラスのAELを超えないように評価を行い、適切なクラス表示を行っています。AELは一般にMPEから導かれ、これによりレーザー製品はクラス分けされており、そのクラスによって安全対策が異なります。ここで、JIS C6802の附属書Cに記載されている、クラス分けの説明と潜在的危険性について述べておきます。

まとめです。

今回は製造業者への要求事項 クラス分けについてお話ししました。2022年現在、JIS C6802の製造業者の要求事項に記載している危険度の説明をまとめています。レーザー機器のクラスは8クラスに分かれており、一覧にすると次のようになります。

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レーザー保護メガネ関連動画
【レーザー安全】2 レーザー事故と安全意識への要求事項_クラス分け
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3. 製造業者への要求事項 製品への要求項目

レーザー機器は、安全に使用するため、JIS日本工業規格のC6802「レーザ製品の安全基準」によりクラス分けされています。

クラス分けは基本大きく4つに分かれており、クラスの数値が上がるほど危険性が増していきます。レーザー製品の正しいクラス分けを行うことは、製造業者の責任とされており、指定されたクラス分けに従って信頼できる安全上の特質を備えていることが必要です。今回はJIS C6802 附属書Fに記載されている製造業者への要求事項の要求項目と各クラスでの対策について解説します。製造業者への要求事項_クラス分けについての動画と合わせて、ご視聴いただけると幸いです。

今回は製造業者への要求事項の要求項目について紹介しました。主にはこの一覧に掲げている細かな項目です。

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【レーザー安全】3 製造業者への要求事項_製品への要求項目
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4. 使用者のための安全に関する対策

レーザー使用者とは、レーザーにかかわる研究者、技術者から現場のライン作業者まで含まれます。

しかし、その職務範囲、職能、資格などによりレーザー製品に携わっている状況が異なります。また、使用者は、レーザー安全に関する知識を有するものと、そうでない者も対象とします。クラス3B以上のクラスのレーザーが運転されるような装置に対しては、第一にレーザー安全管理者を任命しなければなりません。次にそのレーザー安全管理者はそのシステムを調査し、安全確保がおこなえるように適切な指示と実行を行う必要があります。

使用者のためのレーザー安全については、レーザー製品の構造や、設備などハード面、ルール作成や意識啓発、安全教育などソフト面の両面から考えていく必要があります。

使用者側の立場から、レーザー製品に備えなければならない事項、あるいは使用者が対策しなければならない安全事項もあります。これらの事項は、なるべく製造業者側で対応しますが、レーザーの利用方法によってはレーザー管理者および使用者側が、安全確保のために自主的に発案して管理していかなければならない点もあります。

レーザー製品を使用する作業の形態は、定常的標準作業と応用実験的作業に分かれます。

定常的標準作業では、通常、レーザー製品に具備されている安全システムや、保護衣の着用などを含めて管理状態にあるといえます。この場合、事故は定常な作業において起こる可能性があります。一方、応用実験的な作業では、通常、この安全管理は、不完全な状態となる場合があります。また、レーザー光は、つねに人体に触れる可能性があり、事故は起こりやすいです。レーザーによる事故・ヒヤリハット件数では、所属機関別に比較すると、大学院や大学などの教育・研究機関で多い傾向にあります。多くの事故や障害は、このような環境において発生しており、ハード面からフェイルセーフになりにくいため、マニュアルや安全教育により安全を確保する必要があります。この場合、レーザー安全管理者は、十分に作業内容を把握し、より適切な指導による安全対策を行います。

レーザー保護具の選定として、まず、使用するレーザー機器の出力と波長を確認します。

レーザー機器の波長域180nm~1mmとされており、どの波長なのか?可視光線領域なのか?について確認します。そして、レーザ出力レベルは mW W kW 単位のどれくらいなのか? 連続波発振か、パルス発振か? それぞれの条件に対応した保護具でなければ、レーザ光からの保護を果たす事ができません。例えばYAGレーザ用保護具とC02レーザ用保護具とは、レーザ保護具の対応タイプが異なります。また同じレーザ波長用保護具でもレーザ出力が大きく異なると、対応できない場合があります。内容参考 https://www.komorisafety.co.jp/products/laser_protection_08.html

レーザ加工部が見える場合には、レーザ波長に対応した、レーザ保護プレートやカーテン、パーティションで加工部を覆う事が望ましいです。

また大型装置など加工部を覆う事が、困難な場合には必ず管理区域を設定し、管理区域に入らない対策が必要です。管理区域内をどうしても見る必要がある場合は、レーザ保護カーテンやパーティションを設置し、管理区域外ヘレーザーを漏らさない処置が必要です。内容参考 https://www.komorisafety.co.jp/products/laser_protection_08.html

保護メガネ選定の際のポイント次の通りです。

着用が容易で、できるだけ広い視野を持ち、くもりが発生しないように換気性を保ちながら装着部にぴたりとなじむもので、かつ、十分な可視光透過を備えたものでなければならなりません。また、危険な鏡面反射をもたらす平面反射面の使用は避けるよう注意を払わなければなりません。フレームとその他の付帯部品は、レンズに与えられたと同様の保護性を持つことが必要です。しかし、レーザー保護メガネは、レーザーによる眼の損傷を防止する最終的な手段と考えるべきです。使用するレーザー機器や周辺環境を整備し、使用者がレーザーの暴露を受ける機会をできる限り少なくすることはもちろんのこと、使用者に対する安全教育が十分になされなければなりません。

皮膚に対するMPEを超えるレベルのレーザー放射に、人体をさらす恐れのある場合には、適切な保護着衣を用意することが望ましいです。

特にクラス4レーザーは、潜在的に火災の危険性を持っており、着用する保護着衣は難燃性耐熱材料で作られたものが望ましいです。クラス4レーザーに対する保護着衣を選定する場合、レーザー放射に対する耐熱性及び安定性に注意を払う必要があります。

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【レーザー安全】4 使用者のための安全に関する対策
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5. 高出力レーザーの危険性と留意点

しかし、高出力レーザーでクラス3Bやクラス4に相当する製品は、それだけ要求される安全対策も多くなります。

これら高出力レーザーを用いる加工では、保護きょう体にレーザー光が照射された場合、保護きょう体を貫通する恐れもあり、被加工物の材料によっては、有害なガスを発生する場合もあり、火災の危険もあります。

保護きょう体を貫通した場合、それは強力な迷走レーザ放射となり、予期しない事故や火災を引き起こす可能性があります。

迷走レーザ放射とは、既定のビーム光路から逸脱しているレーザ放射のことで、迷走ビームとも呼ばれています。

このような放射には、ビーム光路部品からの不要な反射のほか、破損した部品からの逸脱放射や、ミスアライメントという二個以上の部品を組み合わせる時の軸ずれした部分による逸脱放射等があります。迷走ビームは、正常な運転、サービス、および保守運転を規則どおりに実施しているときでも、相対的に強力な迷走ビームが作り出される故障状態が発生する可能性もあります。

レーザー安全 使用者のための安全に関する対策の動画の中でも、保護メガネの選定について解説しました。

レーザー保護メガネ選定の基本的な考え方は、一部のクラス3R、クラス3B、クラス4のレーザーをフィルタによって吸収や反射させ、クラス2のレベルまで減衰させることを考えます。

よってここで掲げた保護メガネの選定に加えて、レーザー放射の大きさから必要な減衰率を計算した、レンズに適切な光学濃度、また、レーザー出力、最大暴露時間、最大露光量などから、保護メガネへのダメージを想定し、十分に耐久性のある保護メガネを選ぶ必要があります。

保護メガネでの波長λにおける光学濃度とは、最大許容露光量:MPEに対する、予想される保護のない眼への露光レベル:Hoの比の常用対数値のことで、Dラムダ=ログ10MPE分のHゼロにより光学濃度を計算します。

レーザー保護メガネの光学濃度は数値が高いほど、レーザー光の減衰率、遮へい率が高くなり、透過率が低くなります。

よって光学濃度が高くなるほど目にとって安全になります。例えば、連続波CW 1kWレーザー光を光学濃度6のレーザー保護メガネに透過させると、1mWまで減衰されます。ただし、この計算はレーザービームが直接レーザー保護メガネに当たった場合を想定しており、レンズが破壊されないことが前提です。しかし、レーザーの出力が大きい場合、実際保護メガネには溶解、変形、発煙、炭化、燃焼などの変化が現れ、大きく穴が開くものもあります。よって、保護メガネを選ぶ際にはフィルタの耐久性にも注意を払わなければいけなりません。

では光学濃度は大きいほどいいのか?というと、そういうわけではありません。

例えば、高い光学濃度のレーザー保護メガネを使用すると、可視光レーザーの光軸調整が困難になります。このとき光軸調整のために保護メガネを外すと危険なため、可視光レーザーのビームを見る必要の有無を考慮しつつ、レーザー保護メガネは適切なものを選ぶべきです。レーザー保護メガネの役割は”通常の散乱光からの保護”と”万一誤ってレーザービームが直接照射されるような事態が発生した場合にその状態から回避する時間内での保護”の二つに分けることができます。前者のレーザー保護メガネには、側面からのレーザーの進入を考慮した側面シールドつき枠に、プラスチック製吸収フィルタを装着したものや、ゴーグルタイプが対応します。一般的には軽量かつ比較的視野角の広いサングラスタイプのものが使われています。後者のレーザー保護メガネには、直接暴露光を前提とした堅牢なつくりの枠に、飛散防止を施したガラスフィルタを装着したものが対応します。両者のレンズフィルタはレーザーを遮光する光学濃度が同じであっても、直接レーザーに暴露した場合は後者のタイプのものが有利です。参考 https://optipedia.info/laser/lasercont/protect-glass/

関連動画
【レーザー安全】5 高出力レーザーの危険性と留意点
※動画の視聴にはOptiVideoへのお申し込みが必要です

6. 安全設計と保守点検

レーザー安全については、レーザー製品の構造や、設備などハード面、ルール作成や意識啓発、安全教育などソフト面の両面から考えていく必要があります。

レーザー設計者は、レーザー使用者が安全に機器を扱うために、様々な機能や仕組みをレーザー機器に備えていますが、レーザー使用者側としては、できれば安全管理の負担は減らしたいと考えるはずです。そのためレーザー機器の安全設計の基本的な考え方は、保守点検や組立調整を必要としない構造とすることです。

製造業者や設計者は、レーザー安全設計について記載した取扱い安全に関するシステムの取扱説明書および安全マニュアルを作成します。

そして使用者は、マニュアルを参考に危険性の洗い出しや保守点検項目の確認を行います。その中には、日常的に点検するものもあれば、あるいは、随時点検する項目もあります。例えば、ノズルの心出し調整、焦点位置調整、光路調整、 レーザービームモード点検、出力点検および光学部品の点検とクリーニング作業などがあります。これらの作業は危険を伴う作業であるので、レーザー安全管理者は的確な作業方法を指導し、 また使用者はその指示を遵守しなければなりません。

レーザー機器を使用する上での危険性については、レーザー光による直接的な事故に限らず、その他の災害トラブルも考えられます。

これまでレーザーの危険性については、眼や皮膚への障害となる失明や火傷を取り上げ、それらの安全対策を考えてきました。しかし、レーザー機器を使用する現場では、リスクアセスメントを突き詰めれば、レーザー光による直接的な被害以外の危険も多いことがわかってきます。これらを非光学的危険性といいます。非光学的危険性についても、安全管理や保守点検により防止しなければならない事故です。

非光学的危険性の1つに、空気・大気汚染による人体への被害があります。

これによりじん肺や中毒症状をまねく可能性があります。じん肺とは、小さなほこりや金属の粒子などの無機物を長い年月にわたって多量に吸い込むことで、肺の組織の弾力性が失われる病気です。中毒は、ご承知のように、薬や化学物質が体の中に取り込まれたことによって毒性が体に現れた状態を言います。

多くのレーザーは、1kV以上の高電圧を用いており、かつ、パルスレーザーはコンデンサバンクに蓄えたエネルギーによって特に危険です。

5kV以上の陽極電圧で動作する電子管のような回路部品は、適切なシールドを行わない場合、X線を放出することもあります。電気系統については、専門的な技術者以外の素人がそうそう触れるものではありませんが、使用しているレーザー機器のすぐそばの位置に設置されている、または操作パネルや運転区域に設置されている場合は、注意を払う必要があります。またこれは、使用者側の意識的な話になるかもしれませんが、電気系統のまわりには炎が燃え広がりやすい可燃性のものや、薬品を近くに置かないことも大切です。

ここまで基本的なレーザー安全設計や安全管理について述べてきましたが、本質的な安全設計とは家庭電気製品と同様、基本的に調整や点検を必要としない設計です。

このためにはレーザー発振器およびレーザー光路の長期安定性、信頼性の確保、光学部品の長寿命化、信頼性・性能向上、光路防塵性(密閉性)向上などの解決すべき安全設計における諸課題は多いです。問題や課題が多く、難しいことを話したかもしれませんが、いつもの状態と何か違う??のような危険を察知する習慣を身に着け、どんなときでも初心を忘れず安全意識を持ち、レーザーを使いこなす心構えで、レーザー機器を扱っていきましょう。

関連動画
【レーザー安全】6 安全設計と保守点検
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7. 安全衛生教育 クラス4

本編は、レーザー安全 安全衛生教育について解説しています。

厚生労働省は、”レーザー光線による障害の防止対策”と題して各都道府県労働局へ通達をしています。

その中の、クラス4のレーザー機器に係る措置の5番目に安全衛生教育項目があります。レーザー光線の性質と危険性及び有害性についての説明です。

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【レーザー安全】7 安全衛生教育
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8. レーザーが皮膚に与える影響

クラス3以上のレーザー光が皮膚などの生体組織に照射されると、皮膚障害を引き起こすことがあります。

そのメカニズムは全ての生体組織に対してほぼ同じで、熱作用、急激な温度上昇による音響衝撃波、化学反応が起こる化学作用によるものです。これらのメカニズムのどれが障害の原因となるかの度合いは、光を吸収する物質の光の吸収度合いやレーザー放射源の物理的パラメータに関連しています。

光を吸収する物質の光吸収の強さは吸収係数ミューエーで評価することができます。

表面から深さ Z の位置における光強度の強さ I は、光が入射した直後、初期の光の強さをI0とすると、表面から内部へ光が進むにつれて指数関数的に減衰していきます。これをランベルトベールの法則といい、この式には登場しませんが、光を吸収する物質の濃度にも依存するため、光の吸収量を測定して化学物質の濃度測定を行う分析化学においてもよく用いられている法則です。

光を吸収する物質は、光の波長を選ぶため、皮膚への透過性は波長によっても異なります。

スライドの図は、皮膚に対する光透過性を、光の波長毎に数値化したものです。光の波長によっても透過性は異なり、その結果として皮膚の各層におけるエネルギー吸収の割合や、光が到達できる深さが大きく異なります。紫外線や波長の短い開始光線ではメラニンやヘモグロビンの生体分子への吸収が強く、赤外線では水の吸収が強くなるため、皮膚の表面のみで光のエネルギーが吸収されます。メラニン、ヘモグロビン、水の吸収が小さくなる近赤外線の領域では、深くまで光が到達します。

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【レーザー安全】10 レーザーが皮膚に与える影響
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9. レーザーが眼に与える影響

眼は基本的に無防備です。

眼の大部分の組織は、再生する能力がないため、障害を受けると、元の状態に戻らないことが多いです。スライドの図はレーザー光による眼の被害を受けやすい部位を示したものです。眼のレーザー被害により現れる症状として、角膜・網膜の炎症や損傷、硝子体の出血、水晶体の白内障があります。そして、視力低下や最悪、失明などの障害を負うことになります。ここで各波長領域のレーザー光被ばくにおける、眼に与える影響について確認しておきます。

レーザー照明器具による事故例もあります。

生まれて初めてカラオケ店に入り、10秒間発射し続ける緑色のレーザーを左眼で故意に10秒間覗くことを2回繰り返した。帰宅後、左視力低下を自覚し、医師による診察を受けたとのことです。レーザー発射装置は、ビーム出力100mW、波長532nm、JISの「レーザーの安全基準」においてクラス3Rの線を超えるクラス3B相当でした。このようにレーザー機器は、直接観察することを想定せずに作られているものもあります。しかし、長時間直視することで不可逆性の視力低下を生じる恐れがあるため、使用時にはビームの発射時間を短くし、方向を固定しない工夫が必要です。

それでは動画のまとめです。

本動画はレーザーが眼に与える影響についてお話ししました。眼は生体組織の中でも特に精密で、再生する能力がない組織です。眼がレーザー光に照射されると、角膜損傷、白内障、可視光線、近赤外線の波長では網膜損傷を被り、視力低下、失明等となる場合があります。眼障害になると元の状態に戻らない可能性が高いです。身近なレーザー製品として、レーザーポインターや演出用レーザー照明器具があり、比較的高めな出力をもつ製品もあります。そのような光を注視し続けると、眼への露光時間が長くなることで、眼に障害を負う可能性があります。そのため、レーザー製品は、国の定めた技術上の基準に適合したことを証明するPScマーク付き製品で安全に使用するようにします。レーザー光は、低クラスのレーザー製品であっても、眼に大きなダメージを与える可能性があり、自分が直接見ることのないように、また他の人に当たる当てることがないように高い安全意識を持つ必要があります。ここまでご視聴ありがとうございました。

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10. レーザー保護メガネ_正しい選び方と使い方

レーザー保護メガネとは、レーザー光線用遮光保護メガネの略称であり、レーザー光線から目を保護するレーザー専用のメガネです。

人体の部位の中でも眼は基本的に無防備であるため、レーザー光線が眼に当たると、角膜損傷を引き起こす他、眼の中のレンズの役割を果たしている水晶体により、眼の内部で光が集光され、網膜損傷を引き起こす可能性があります。レーザー保護メガネは、特定波長のレーザー光からの透過を防ぐ目的があります。そのためレーザー光の透過率の低い保護メガネを適切に選び使用する必要があります。

⑥光学濃度OD値の算出

OD値とは、光学濃度のことで、光の吸収度合いを対数で示した値でD値とも呼ばれることがあります。③と⑤で算出した、最大許容露光量と最大放射露光量の値を用いて、その比を求めます。許容量に対する露光量を求めると、通常、非常に大きな数値となりますが、対数をとると、数値がシンプルにわかりやすくなります。保護メガネは、この大きなレーザー光の露光量を、許容量程度にまで落とし込み、透過する光を減らすことが理想的です。

画像は、弊社で扱っているレーザー保護メガネ製品の型番別、波長とOD値を示した図です。

このようにレーザー波長に対して適切な保護メガネがありますので、レーザーの波長と出力を確認し、必要なOD値を元に、レーザー保護メガネの型番を選びます。

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【レーザー安全】8 レーザー保護メガネ_正しい選び方と使い方
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11. レーザー安全セーフティ製品_正しい選び方と使い方

それでは本動画のまとめです。

今回はレーザー保護メガネ以外のレーザー光からのダメージ防止のツールとしてレーザーセーフティ製品について紹介しました。簡易レーザー遮光ボックス、レーザー保護パーティションを紹介しました。これらは保護きょう体として、またレーザー管理区域の設定に使用できます。

レーザー保護プレートを選ぶ際の流れとしては、保護メガネと同様にレーザーの種類・出力・波長の確認、必要な光学濃度OD値を算出し、適切な保護プレートを選定します。

光学濃度が足りない場合は、重ねて使用することで必要な光学濃度を獲得します。

そしてレーザー光から皮膚を守るレーザー保護服・グローブ

レーザー光を可視化するIRセンサーカード、ホコリや異物を除去した作業環境:レーザークリーンブースがあります。ここまでご視聴ありがとうございました。

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