- 製品名(光響製)モード同期
Ybファイバーレーザーキット - 型番FL-MLYb-kit
- 価格¥980,000(税抜き)※1
- 納期1週間〜2ヶ月
※1 LDなし ¥880,000(税抜き)
超短パルスレーザー(フェムト秒レーザー・ピコ秒レーザー)は完成品を購入すると数百万円から1千万円しますが、このモード同期Ybファイバーレーザーキットを用いれば98万円 (税抜き) でフェムト秒レーザー及びピコ秒レーザーを構築することができます。
マニュアルを見ながら模型感覚で組み立てることができるため、レーザー光源の開発ノウハウを簡単に習得することができます。
*完全製品もお安く取り扱っておりますのでご相談ください。
開発秘話
大学研究室や企業の新入生が、プラモデル感覚で「ファイバーレーザー」、「モード同期」、「フェムト秒レーザー」を学べるおもちゃがあれば面白いと思ったために開発しました。「電気の基礎が楽しく学べるアナログ電子回路作製キット:学研電子ブロック」のような「レーザーの基礎が楽しく学べるレーザー発振器作製キット」です。本実験キットが「超短パルスレーザー分野の発展」、「レーザー業界の発展」、「光産業の発展」に寄与できることを願っています。
ヒストリー
- 2004年 ファイバーレーザーは光通信帯である波長1.5um帯が中心であったため、波長1.0um帯のファイバーレーザー用光学素子は市販品がほとんどない状況でした。Yb添加ファイバー、アイソレーター、ファイバーコリメータを揃えるにも大変苦労し、何を使えば良いのか、何が適しているのか、手探り状態でした。米国の学会では発表されていたものの、日本の学会ではまだ発表がされていないもので、波長1.0um帯でモード同期ファイバーレーザー発振に成功するために約1年掛かりました。モード同期が初めて掛かったときは大変嬉しかったのを覚えています。
- 2011年 ある会社様との協業により「モード同期Ybファイバーレーザー実験キット」の開発に成功しました。当時、モード同期Ybファイバー製品は1,000万円クラスと大変高価なものでした。我々はマーケットを拡大させるためにも実験キットの価格は約100万円としました。
- 2014年3月末 理化学研究所や日本原子力研究開発機構等の独立行政法人、東京大学や京都大学などの大学のみならず、大企業からベンチャー企業まで、数多くのお客様へ納品させて頂きました。我々が知る限りでは購入者のモード同期達成率は100%となっております。
- 2016年1月末 これまで30台、最近では1ヶ月に1台、フェムト秒レーザー(モード同期ファイバーレーザーキット)が世に出るようになりました。お使い頂いているアプリケーションも多種多様で、フェムト秒レーザーの市場拡大に寄与できているという実感を抱いております。
- 2019年11月末 累積販売台数は300台以上になりました。
構成
モード同期Ybファイバーレーザーキットには下記が含まれております。
- 光学部品一式
- 半導体レーザー(LD)(※LDなしにすることもできます)
- 組み立てマニュアル
仕様
仕様例1
ソリトンパルスモード同期の場合(最下に記載 ∨)
- パルス幅:670 fs
- 中心波長:1040 nm
- スペクトル幅:8.0 nm
- 平均出力:10 mW
- 繰返し周波数:40 MHz
- エネルギー:0.25 nJ
- ピーク強度:370 W
仕様例2
ストレッチパルスモード同期の場合(最下に記載 ∨)
- パルス幅 : 1 ps (※外部にて1.0 um帯透過型パルスコンプレッサーキットを用いた場合:62 fs)
- 中心波長 : 1035 nm
- スペクトル幅 : 55 nm
- 平均出力 : 100 mW
- 繰返し周波数 : 45 MHz
- エネルギー:2.2 nJ
- ピーク強度:2.2 kW(パルス圧縮後32 kW)
*広帯域アイソレーターオプションを用いた場合(その他アイテムにて記載 ∨)
仕様例3
- パルス幅 : サブps
- 中心波長 : 1055 nm(1030 ~ 1060 nm可変)
- スペクトル幅 : 25 nm
- 平均出力 : 50 mW
- 繰返し周波数 : 40 MHz
- エネルギー:1.2 nJ
- ピーク強度:数 kW
*広帯域アイソレーターオプションを用いた場合(その他アイテムにて記載 ∨)
アプリケーション例
本キットと同様の構成のモード同期ファイバーレーザーが使用されている論文をご紹介いたします。お客様によっては本実験キットをレーザー顕微鏡用やOCT用、加工用やTHz用のレーザー光源としてカスタムされているケースもございます。本キットを用いた研究結果が世界トップレベルの論文誌であるNature Photonicsに掲載されております。
- “High-speed molecular spectral imaging of tissue with stimulated Raman scattering “, Nature Photonics 6, 845–851 (2012).
本キットを用いています。 - “Stimulated Raman hyperspectral imaging based on spectral filtering of broadband fiber laser pulses”, Optics Letters, Vol. 37, Issue 3, pp. 431-433 (2012).
- “Subharmonic Synchronization of Picosecond Yb Fiber Laser to Picosecond Ti:Sapphire Laser for Stimulated Raman Scattering Microscopy”, Jpn. J. Appl. Phys. 51 022702 (2012).
- “Stimulated Raman scattering microscope with shot noise limited sensitivity using subharmonically synchronized laser pulses”, Optics Express, Vol. 18, Issue 13, pp. 13708-13719 (2010).
- “Quasi-supercontinuum generation using 1.06μm ultrashort-pulse laser system for ultrahigh-resolution optical-coherence tomography”, Optics Letters, Vol. 35, Issue 21, pp. 3631-3633 (2010). ソリトン自己周波数シフトの様子
- “Temporal focusing microscopy using three-photon excitation fluorescence with a 92-fs Yb-fiber chirped pulse amplifier,” Biomed. Opt. Express, 8, 2796-2806 (2017).
備考
*半導体レーザー(LD)の電源は含まれておりません。オプションをご覧ください。
*融着機をお持ちでない方はご相談ください。
*キットの分割相談はご遠慮ください。
*より製品に近いキットをご要望の方は「小型モード同期Ybファイバーレーザーキット」をお勧めいたします。
*より高強度を得たい場合は「ファイバーアンプキット」や、「高パルスエネルギー型フェムト秒再生増幅器キット」と
合わせてご利用いただけます。
*中心波長が「1.5 μm型」、「0.9 μm型」のモード同期ファイバーレーザーキットもあります。
*完全製品も取り扱っておりますのでご相談ください。
製品の販売実績
アカデミック
- 北海道大学
- 光産業創成大学院大学
- 慶應義塾大学
- 京都大学
- 理化学研究所
- 東北大学
- 電気通信大学
- 福井大学
- 埼玉医科大学
- 東京大学
- 学習院大学
- 山梨大学
- 早稲田大学
- 立命館大学
- 千葉工業大学
- 東京理科大学
- 明治大学
- 筑波大学
- 大阪大学
- 大阪市立大学
- 神奈川大学
- 東京工業大学
- 千葉大学
- 宇都宮大学
- 筑波大学
- 海外大学(中国)
- 分子科学研究所
- 高エネルギー加速器研究機構
- 日本原子力研究開発機構
- 宇宙航空研究開発機構
企業
- 精密機器商社(末端:計測機器メーカー)
- 計測機器商社(末端:電子部品メーカー)
- 精密機器商社(末端:電気機器メーカー)
よくあるご質問及び弊社回答
温度、湿度、ファイバーの状態を一定にし、ファイバー内の偏光の変化を最小限にすることである程度の安定性は確保できます。方法としては下記を行います。1,筐体に組み込み、空気の擾乱を防ぐこと。
2,ファイバーを固定して、一定温度に保つこと。対策例:小型モード同期Ybファイバーレーザーキット長期的な安定性を持たせるためには、理論的には偏波保持ファイバーで構成することですが、弊社のオリジナル製品としては販売をしておりません。
その他のオプションの「波長可変用スリットセット」を使用することで1064nm発振が可能になり、1064nmに調整がしやすくなります。小型モード同期Ybファイバーレーザーキットは1040nmに最適化した製品ですので、本キット(モード同期Ybファイバーレーザーキット)の方が1064nmに調整がしやすいです。また、「1.0 um帯透過型パルスコンプレッサーキット」を使用することで数100fsに調整可能です。
本キットは非偏波保持ファイバー内における偏波回転を用いたモード同期法ですので、PMファイバーに置き換えるとモード同期を起こせなくなってしまいます。PM型は現在開発中です。
数100fsは100fs〜300fs程度、サブpsは600fs~1ps程度のイメージでwebに記載しております。
パルスコンプレッサーがなくても仕様例1のようにサブpsが出ることは確認しております。
他関連製品
3波長フェムト秒レーザー光源と精密加工ステージをプラットフォームとした超高精密レーザー加工機です。レーザー精密加工に必要なエッセンスの全てを装備し、各種工業材料へ最適なコールドアブレーション加工を行います。
オプション(別売り)
必須アイテム
大電流用14ピンバタフライ型LD電源キット(液晶ディスプレイ付)
液晶ディスプレイが付いたコンパクトなLD電源キットです。
::半導体レーザーを取り扱う際の注意事項
¥159,500 (税抜き)
LD電源をブレッドボードに固定させるためのペデスタル・クランプ 各4個セット
約 ¥24,000(税抜き)
光学製品を配置・固定するために用います。光学定盤をお持ちでない場合は必要です。 素材:アルミニウム(黒アルマイト) サイズ:450 x 600 x 12.7 mm
OTSB456-1
約 ¥56,000(税抜き)
励起用のレーザー光とキットから出力されるレーザー光は目に見えません。レーザー光を確認する為には、専用のビュワーカードが必要です。
::IRセンサー(ビュワー)カードの解説
¥9,800(税抜き)
推奨アイテム
付属の簡易組み立てマニュアルよりも詳しいマニュアルです。このマニュアルがあれば、モード同期が簡単に掛かります。以下の内容が記載されています。
- 組立て方法の詳細な解説
- 非線形偏波回転モード同期のかけ方
- モード同期がかけられなくなった際のトラブルシューティング
¥100,000 (税抜き)
モードロックの確認、レーザー光のスペクトルの測定に使用します。 モードロックの確認は、フォトディテクター・オシロスコープでも代用可能です。
::光スペクトルの測定方法
::分光器の解説
お問い合わせください
任意アイテム
オシロスコープに繋げてレーザー光の強度を測定することができます。パルス列を観察することでモードロックが掛かる様子を確認することができます。
::フォトディテクターの解説
ET-3000A
お問い合わせください
その他のアイテム
ファイバーレーザーについて体系的に学ぶことができます。
ISBN-10: 4902312476
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波長1020 nm〜1090 nmまで手動で波長を変えることができます。
WT-SL-k
¥100,000(税抜き)
高分散ガラスを抜き差しすることで、パルス幅を微調することができます。角柱25 mm、各厚さ5, 10, 20, 40, 50, 100, 150 mmをご用意しております。
消耗品
LDパワーが強い時にアライメント作業を行うとQスイッチ動作が
起きやすくダメージを受ける場合があります。
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お問い合わせ下さい
その他のサービス
モード同期ファイバーレーザーが発振するところまでの組み立てを光響に任せることができます。
–
¥300,000(税抜き)
交通費等は別途費用がかかります。
即日、短納期で購入可能な製品
光響
FL-MLYb-kit
価格
- ¥980,000(税抜き)
- LDなし ¥880,000(税抜き)
1週間〜2ヶ月
モード同期とは
Yb添加シリカガラス光ファイバー
Ybファイバーの吸収断面積と誘導放出断面積を示します。詳細はこちら。
ソリトンパルスモード同期・ストレッチパルスモード同期
ソリトンパルスモード同期は、共振器内のトータルの分散が負(異常分散)のときに起こります。光ソリトン効果(分散効果によるパルス広がりと、自己位相変調(SPM)によるパルス圧縮が釣り合う効果)によってsech2関数の波形になります。そのためパルス品質は良いのですが、パルスエネルギーが制限されてしまいます。
ストレッチパルスモード同期は、共振器内のトータルの分散が正(正常分散)のときに起こります。パルスエネルギーが制限されにくく高出力化が可能でありますが、パルス圧縮後に台座(ペデスタル)成分が残りやすいのが特徴です。
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