回折格子対の動作原理
図1に回折格子対の構成を示す。
パルスは、一対の平行な回折格子のうちの一方に入射する。パルス内の異なった周波数成分は、各々異なる角度をもって回折される。このとき、青方シフトした成分の方が赤方シフトした成分よりも短い時間で回折格子対を通過する。正のチャープのあるパルスでは、青方シフトした成分はパルスの後端近くにあり、赤方シフトした成分はパルスの前端にあるので、パルスが回折格子対を通過する間に後端が前端に近づき、パルスが圧縮される。
図1のような回折格子対の配置において、点Pと点Qにおける位相シフトΦ(ω)は、
となる。ここで、Gは回折格子間の垂直距離、θiは入射角である。θcdは一次の回折角でありωに依存し、以下の式で表される。
ここで、dは溝の間隔(格子間隔)である。Φ(ω)の式の第一項は光路による位相シフト、第二項は回折格子面で受ける位相シフトである。この式を逐次微分して2次の位相分散であるβ2Gを以下のように求めることができる。
上式は回折格子間距離Gに対して線形である。この光学配置におけるGVDは常に負を示し、正常分散を補償することができる。
ダブルパス法
図1の構成では、パルスのスペクトル成分が空間的に分散されてしまう。このため、一般的にはビームを反射させ回折格子対を通して元に戻す。このダブルパス法ではビームを元の断面積に戻すばかりでなく、GVDの大きさを倍にさせ、回折格子の間隔を半分にすることができる。また、反射鏡をわずかに傾けることで圧縮されたパルスと入射パルスを分けることができる。
回折格子対を用いた分散補償
下記に、回折格子対(ダブルパス法)のGroup Delay Dispersion(=β2G)の例を示す。
■光の情報
・波長範囲 λ : 1040 ± 25 nm
※回折格子のOperation Wavelength内とする
■透過型回折格子の仕様
・Line Density : 1000 lines/mm
→ 格子間隔 : 0.001 mm
・Optimum Angle of Incidence θi : 31 degree
■回折格子対のセッティング情報
・回折格子間の垂直間隔 : 2〜6 mm